膀胱炎になったらトイレは我慢してはいけない?
「おしっこを我慢すると、膀胱炎になる」という話は聞いたことがあるのではないでしょうか?
これは、事実、可能性の高いお話です。
それには大きくわけて、2つの理由があります。
一つは、排尿することには膀胱や尿道に入った細菌を洗い流す作用もあるので、トイレに行くのを長時間我慢していると、尿道などにある細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
2つ目は、膀胱の粘膜には感染防御作用があるのですが、トイレに行くのを我慢していると、膀胱の粘膜が広がりっぱなしになってしまいます。
この粘膜が広がった状態が続くと、血流が悪くなるなどの影響があり、大事な感染防御作用が低下してしまいます。
では、トイレには1日どのくらいの回数、行けばよいのでしょうか?
人によっては極端に排尿の回数が少ない人がいます。
そんな人は「別に我慢しているわけじゃないから大丈夫だ」と思いがちですが、膀胱の細菌が増えないようにするためには、特に尿意がなくても、1日に決まった回数トイレに行く習慣をつけましょう。
1日に4、5回を目安に、朝起きたらと寝る前に1回ずつ、日中は3〜4時間に1度くらいがいいでしょう。
あまりトイレに行きたくならないという人は利尿作用のある飲み物を飲むのも一つの手です。
コーヒー、紅茶、お茶、などカフェイン入りの飲み物には利尿作用があります。
ビールにも利尿作用はあります。
しかしアルコールには脱水作用もあるので、あまりおすすめではありません。
膀胱炎の症状が出ているのにトイレを我慢していると、細菌が尿道、膀胱へと侵入し、その先にある尿管を逆流して、腎盂にまでたどり着き炎症を起こしかねません。
これは腎盂炎と呼ばれる感染症です。
腎盂とは腎臓で作られた尿を集めるところです。
尿の逆流は実際のところ、腎臓の中心部まで達してから起こるので炎症を広げてしまいます。
よって正式名は腎盂腎炎と呼ばれています。
腎盂腎炎の症状は、38度以上の高熱がでます。
40度を超えることもあります。
また、急に熱が上がってしまった場合の悪寒や止まらない震え、片側だけの腰の周辺の強い痛みもでます。
痛みがひどくて仰向けに寝られないこともあります。
その他、周辺の白っぽく濁った尿が出たり、おしっこが少ししか出ないのに、トイレの回数が増加します。
膀胱炎も併発していることが多いので、排尿時の痛みもあります。
また血尿、倦怠感、食欲不振など、さまざまあり、まれに尿毒症や敗血症、菌血症などの合併症を引き起こすこともあります。
発熱して、ちょっとでもおかしいと感じたなら、夜間でも構わず、病院へ行きましょう。
それが合併症を引き起こさないようにする最大の安全策です。