男性の膀胱炎
膀胱炎というと、8割は女性に起こるもので、男性の数は少ないです。
それは、男性は女性よりも尿道が長いので、細菌が膀胱に入る前に排尿によって洗い流すことができるからです。
普通の生活を送っていれば、男性が膀胱炎にかかることはほとんどありません。
その少ない事例をご紹介しますと、病院の診察や治療の際、尿カテーテルを使用することによって、膀胱内に細菌が持ち込まれ、膀胱炎を発症するケースがあります。
ただ、男性の場合は膀胱炎なのか、尿道炎なのか、前立腺炎なのか、自分で判断するのは難しいので、おかしいなと思ったら、早めに病院へ行ってみてください。
1無菌性膀胱炎
男性の膀胱炎は子供も発症することがあるので注意が必要です。
その多くは無菌性膀胱炎というものですが、超音波検査や膀胱鏡所見で、若い医師には膀胱がんと誤診される場合もあります。
無菌性とは字の通り菌がないので、抗生物質を服用しても症状は改善されません。
そして副腎皮質ホルモンに反応します。
ただし、原因となる細菌がいないから絶対に無菌性膀胱炎であるとは言い切れず、結核性膀胱炎や間質性膀胱炎かもしれないので、治療してもなかなか症状が良くならないときは、新たに、膀胱鏡で膀胱の内部を検査しなければなりません。
2前立腺炎
男性は女性と違って、尿道が長いので、膀胱炎になるより、尿道炎や前立腺炎になる可能性の方が高いです。
男性の膀胱炎はすぐに発症するのではなく、最初に尿道が細菌に侵され、だんだんと前立腺へ広がっていき、その後膀胱炎を発症することが多いです。
女性と同じ様に、繰り返し膀胱炎を発症するケースもあります。
繰り返してしまう原因は、前立腺が完全に細菌の繁殖を絶っていないことが考えられます。
3前立腺肥大
前立腺炎だけでなく、前立腺肥大でも膀胱炎を発症するケースがあります。
通常の男性の排尿は勢いよく出て、短時間で終わるのですが、前立腺が肥大してしまうと、尿の出の勢いがなくなり、出すのに時間がかなりかかるようになります。
排尿しても、膀胱内に尿が残るようになるので、もし膀胱に細菌が入ってしまった場合、細菌を排尿によって体の外に出しきれないということになります。
それからどんどん細菌が増殖し、膀胱炎を発症してしまいます。
膀胱炎になったときは、治療に抗生物質が処方されます。
抗生物質を服用すれば、膀胱炎の中の細菌を簡単に退治することができます。
抗生物質は膀胱炎には効果があるのですが、男性は、前立腺に細菌が侵入してから膀胱炎になるので、薬が膀胱炎に効果を発揮しても、薬が前立腺に届きにくいため、そこに細菌が残りやすくなってしまいます。
従って抗生物質で膀胱炎の症状が改善されても、抗生物質を飲まなくなると、前立腺に残っていた細菌が再び膀胱に侵入し、膀胱炎を引き起こします。
このため、男性の膀胱炎は慢性化することが多いです。
女性は、急性膀胱炎が多いのに対して、男性は何か基礎疾患が隠れていたり、急性前立腺炎の合併症だったりする可能性があるので、膀胱炎かな?と思ったら、早めに泌尿器科を受診しましょう。